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病害虫発生予察注意報情報

 トマトの病害「黄化葉巻病」の多発が予想され、早急に防除措置を講じる必要があるので、静岡県農林水産部長より下記の通り発生予察注意報が発令されました。トマト栽培農家の方は防除を徹底してください。

病害虫発生予察注意報第3号
平成12年10月2日
静岡県農林水産部長
対象病害虫  トマト黄化葉巻病
病原ウィルス:Tomato yellow leaf curl virus(TYLCV)

対象作物   トマト

 
  症状は…新葉は退色して内側に軽く巻き込む。病状が進むと株全体が黄化して
  萎縮する。シルバーリーフコナジラミが媒介する。
  (平成12年度静岡県病害虫防除基準より抜粋)

 
1.注意報の内容
1. 発生が予想される地域 県内全域
2. 多発生が予想される時期 10月以降
3. 発生程度
4. 防除時期 10月上旬以降随時


2.注意報発令の根拠
 (1)平成11年12月に県内中西部地域を中心にトマト黄化葉巻病が多発したため、
 平成12年2月7日付け病害虫発生予察注意報第3号を 発表 し注意を喚起した。
 発生面積は11haであった。 平成12年9月、病害虫防除所、農業試験場、
 農林事務所が調査した結果によると、施設栽培における本病の発生面積は21ha
 となり、被害が拡大している。
 (2)本病ウィルスはシルバーリーフコナジラミにより媒介され、その媒介能力は高い
 (3)10月以降の気温は前年より高い見込みであり、本虫は今後も活発に増殖・
 分散することが予想される
ため、本病の発生の拡大が懸念される。

3.防除方法
 (1)シルバーリーフコナジラミに対する薬剤防除を徹底する。
 (2)天窓や側窓に1mm目の防虫ネットを張り、本中の侵入を防ぐ。
 (3)発病株を放置すると媒介虫が増加するため、確認次第抜き取ってビニール袋に
 密封し、完全に枯死させる。
 (4)周辺への拡大を防ぐために、発病ほ場では本虫が急増する3月末までに栽培を
 終了し、施設内の全ての株を根元から抜き取り2週間以上密閉して完全に枯死させる
 とともに本虫を死滅させる。
 (5)本虫は雑草でも増殖が可能であることから、密度を下げるため、ほ場周辺の
 除草を徹底する。
 (6)本病の疑いかある場合には、病害虫防除所、農業試験場、農林事務所、
 農協に問い合わせる。


トマトにおけるシルバーリーフコナジラミの有効薬剤
薬剤名 希釈倍率・使用量 使用時期−散布回数 マルハナバチの影響日数*1
サンマイトフロアブル 1000〜1500倍 収穫前日まで−2回 2日
アドマイヤー水和剤 2000倍 収穫前日まで−3回 30日
ベストガード水溶剤 1000倍 収穫前日まで−4回 10日
モスピラン水溶剤 2000倍 収穫前日まで−2回 1日
チェス水和剤 3000倍 収穫前日まで−4回 0日
アドマイヤー1粒剤 1〜2g/株 定植時−1回 30日
ベストガード粒剤 2g/株 定植時−1回 20日

 注*1:当社にて追加。日本バイオロジカルコントロール協議会2000年2月作成資料より抜粋

 筆者追加:アプロードエースフロアブル 1000〜2000倍 収穫前日まで−3回 マルハナ1日を上記剤に混用すると、殺幼虫効果が高まり長期間発生を抑制します。また次世代成虫の発生が減少するので、混用をお勧めします。

参考資料
1.病徴と被害(上の写真をご参照ください)
 (1)初期には芽や新葉で葉縁から退録しながら巻き、後に葉脈間も黄化して縮葉となる。
 更に症状が進むと節間が短縮し、株全体が萎縮症状を呈する。
 (2)発病前に着果した果実は正常に発育するが、発病後の花は結実しないことが多い。
 (3)感染から発病までの潜伏期間は10日前後である。

2.ウィルスの諸形質及び病原性
 (1)病原ウィルスはジェミニウィルス科のTomato yellow leaf curl virus(TYLCV)である。
 (2)ウィルス粒子:直径15〜20nmの球状粒子が2個つながった形をしている。
 (3)伝搬様式(筆者注:重要です!)
  ア 発病作物から吸汁したシルバーリーフコナジラミ成虫及び幼虫がウィルスを体内に
    取り込み、約1日の潜伏期間を経て、伝搬能力を獲得する。成虫は吸汁により
    ウィルスを媒介する。15分程度の吸汁で感染が成立する場合がある。
  イ 本病の潜伏期間は10日前後である。
  ウ オンシツコナジラミでは媒介されない。
  エ 汁液感染、種子感染、土壌感染、アブラムシ媒介はしない。
 (4)感染植物:ナス科植物(トマト、タバコ、チョウセンアサガオ)とキク科植物
   (ヒャクニチソウ)への感染が確認されている。

黄化葉巻病に対するコメント