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日本農業新聞2000年11月14日付朝刊より

韓国産ミニトマト農薬汚染

基準超える殺虫剤 通関前検査義務付け


 10月下旬、下関港に輸入された韓国産ミニトマトから、国内基準を超える殺虫剤が検出された問題で、今月に入って新たに基準値を超えるものが輸入されたことが、13日までに厚生省の検査で分かった。
同省は6日から、食品衛生法に基づき輸入ミニトマトの通関前検査を義務付けている。
流通業者の間では「検査は2、3日かかり鮮度が落ちる。検査の義務付けで結果的に国産トマトへシフトするのではないか」との声が聞かれる。

 検出された殺虫剤は有機リン系のEPNで、国内の基準値は0.1ppm。昨年11月の抽出検査で、博多港に輸入された同国産ミニトマトから0.65ppmが検出された。
このため、全国の検疫所で抽出回数を増やし警戒していたところ、先月下旬、下関港に輸入されたものから再び基準値を超えるEPNが検出されたため、同省は全国31ヶ所の検疫所に韓国産ミニトマトの全ロットの製品検査命令を出した。基準値を超えた場合、食品衛生法違反となり、輸入ができない。
ミニトマトは、2年連続で最も輸入が増えている生鮮野菜。昨年は約5千トン入り、今年は1万トンに達する勢いといわれているが、そのほとんどが韓国産だ。国内産のほぼ半値という圧倒的な安さで、国内産地を圧迫している。
製品検査の対象になると「基準を超える恐れがない」と判断されるまで検査が義務付けられる。韓国産の農産物ではほかに、青トウガラシ、エゴマと一部業者の輸入するキュウリ、ピーマンが、基準値以上の農薬が検出される恐れがあるとして、製品検査の対象になっている。


 コ メ ン ト 

 輸入農産物の安全性についてはポストハーベストなどに伴う残留農薬の問題が取りざたされています。

 EPNの農薬登録を見ると、露地トマトのヨトウムシ類、アブラムシ類、ハダニ、スリップスに1000〜2000倍で収穫前30日までに4回まで使用できることになっており、今回の問題はこの登録以外の使われ方をしたことで残留基準以上のEPNが検出されたことです。

(11/22追加)韓国での使用基準はこの限りではないというご指摘を頂きました。^_^; しかし、輸出先の使用基準に合わせた防除って当然すべきじゃないでしょうか? 世界的に統一された農薬の使用基準があってしかるべきと思います。

 韓国では国の補助により多くのオランダ型ハウスが建てられ、非常に低コストな生産が可能となっています。 また人件費も日本に比べればまだまだ安いため日本のハウス栽培農家にとってはきわめて大きな脅威となっています。
しかしながら、ここで見えてくるのは韓国における農薬の使用実態ではないでしょうか?
日本のトマト栽培ではマルハナバチが広く普及しているため、基本的に有機リン剤などの比較的急性毒性が強い農薬は使用していません。現在の日本で栽培されるトマトは、マルハナバチが導入される10年前と比べ図らずも低農薬化が進んでいるといえるでしょう。また天敵利用も各地で進み始め、基本的に天敵の輸入が禁止されている韓国との比較では、日本のトマトは減農薬栽培と考えられます。

ここで 生産者の方にお願いしたいのは「農薬の適正使用」です。農薬は使用基準を守って使えば今回のような残留が問題になることはありません。対岸の火事とか輸入農産物が危険などと考えずに、改めてご自身の防除プランの再点検をお勧めします。

国や地域によって使われる農薬が違うことは今の世界において仕方ないことなのかもしれませんが、輸出に目を向けている国がいつまでも古い薬剤に頼っているとも考えられないでしょう。今年はEPNを使っていても来年にはより安全なIGRや天敵を使うことも充分に予測されます。
そのときに国内産の生産物の安全性をよりPRするためにも「農薬の使用基準を遵守すること」は不可欠なことと考えます。


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